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いま話題の「既婚者合コン」を弁護士に聞く

 先日、あるテレビ番組で「既婚者合コン」という聞き慣れない言葉が紹介され、物議を醸していました。
 「既婚者合コン」とは、その名のとおり妻や夫では満たされない既婚の男性・女性が「友達以上不倫未満」の割り切った付き合いを求めて参加する合コンだそうで、当然相手も既婚者になります。このようなイベントが本当に存在するのか調べたところ、インターネット上には「既婚者パーティ」と謳われたイベントの募集が行われていたり、実際にイベントを楽しむ方々の写真が掲載されていたりと確かに流行していることが伺えます。

 

 日頃から離婚・男女問題を専門とする当事務所にとっても非常に興味深い話であり、早速、いま話題の「既婚者合コン」について田村・堀井の両弁護士にインタビューしました。

 

 

 

Q.なぜ、いま「既婚者合コン」が流行していると思いますか?
[堀井]
 率直に言うと、女性に需要があるからだと思います。
 多くの女性は結婚して子どもを産んだとしても、心のどこかに「いつまでも女性として見られていたい」という気持ちを持っていますので、夫が不在のときや子育てが一段落したタイミングに、ちょっとした出来心で参加するのでしょう。
 ただし、このようなイベントに参加する女性はいきなり不倫関係になることを望んでいるわけではなく、男性とふれあい、女性として扱ってもらえれば満足というスタンスの方がほとんどです。相手の男性が既婚者であればなおさら、お互いの子どもの話や配偶者の愚痴で盛り上がることができますので、出会い系サイトのような怖さや不安がありません。安心感があって話も合いやすい上、ホストのようにお金がかかるわけでもありませんので、この世代の女性たちが求めるものにぴったりのイベントなのかもしれませんね。

 

Q.一方で、なぜ男性は参加するのでしょうか?
[田村]
 不倫願望はありながらも、妻とは離婚するつもりはないし、結婚を迫られて家庭を壊したくないと考える男性に需要があるのだと思います。男性としても家庭を築いている女性は安心感がありますし、家庭を壊さずに都合良く付き合ってくれる女性というところにメリットを感じるのでしょう。
 また、出会い系は怖いけど、既婚者イベントは友人としての付き合いを強調しているし、大勢の中であれば様子を見ながら行動できるという控えめな男性が参加できるのもポイントだと思います。
 それから、ここまで考えている男性はあまりいないかもしれませんが、万一交際が相手女性の夫に発覚して騒動になったとき、男性が相手の女性に対して「僕が結婚していることを知っていたでしょう」と言えるメリットがあります。不倫をめぐる争いでは、一方から「既婚者だと知らずに交際していた」という主張がなされ、争点となるケースが多いのですが、既婚者合コンで出会ったのであれば当然お互いに既婚者と認識しているということになりますから、男性だけでなく女性にも不貞行為の責任があることを明確にしておくことができますね。つまり、慰謝料やその求償権といった話になった場合に、自分だけが不利になるという状況をあらかじめ回避しておくことができるということです。

 

 

Q.「既婚者」と謳って集客をする場合、運営者に法的な問題はありますか?
[田村]
 たとえば通常の出会い系サイトは既婚者かどうかで利用者を区別しておらず、行動も利用者本人の良心に委ねられていますが、このイベントのように「既婚者限定」と銘打って男女を出会わせる場を設けるということは、直接的ではないとしても、夫婦の婚姻関係という法律で保護された権利を故意に侵害させる可能性がある行為になりますので、違法行為を助長しているという点で主催者が法的責任を問われるケースも今後出てくるのではないかと思います。
 主催者のサイトを見てみると、多くのサイトでは「不倫を目的とした参加はお断りしています」と不倫行為の禁止を明記しています。すなわち、主催者は「不倫は違法である」と認識した上でイベントを開催し、このイベントをきっかけに参加者同士が不倫関係に至らぬよう注意を促しているということになります。
 しかし、ここで問題となるのが「不倫とは何か」ということです。既婚者合コンに関連する情報サイトやSNSを見ていると、「キスは法律の定める不貞行為にあたらない」とか「キスやハグだけでは離婚訴訟に発展したときに慰謝料が安く済む」といった情報が見られるように、一般にはハグやキスだけでは不貞行為に当たらず、肉体関係があってはじめて慰謝料が発生すると思われがちですが、残念ながらこれは正しい認識ではありません。実務上では、慰謝料が発生するかしないかの分水嶺は必ずしも肉体関係の有無ではなく、「婚姻関係を破綻させる行為があったかどうか」がポイントになります。簡単に言えば、一般人を基準に家庭を破綻させるかどうかが問題で、配偶者が嫌がっているにも関わらずこのようなイベントに繰り返し参加し、それが原因で夫婦関係が破綻すると、それだけで慰謝料が発生する場合もあるということです。
 よって、不倫を禁じる旨の注意書きがあるだけでは運営側の対応として充分とは言えず、違法行為を助長する行為として、主催者や運営サイトに法的責任が認められる可能性が考えられます。

 

Q.もし参加しようとしている人がいたら、どのようなアドバイスをしますか?
[堀井]
 女性がそういう場に行く理由の一つには、自分でも気づかないうちに夫婦関係に不満を持っているということが考えられます。リフレッシュのために参加してみるのも良いですが、その前に一度夫婦関係を見つめ直してほしいと思います。
 それから、軽い気持ちではじまった出会いでも、一対一の関係になると簡単には終わらせることができないのが人の性です。特に女性は「誰にも言えない関係」のような逆境に置かれるほど加熱しやすい傾向にありますので、少しでも「危ないな」と思ったら、ドロ沼不倫騒動になる前に、友人や男女問題を専門とする弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
[田村]
 どのような動機であれ、こういった場に参加するということは周囲や配偶者から「不倫」と言われること覚悟をしておく必要があると思います。前述したとおり既婚者同士の出会いに絶対の安全はありませんが、強いて言うなら肉体的接触は避けておくと良いでしょう。いずれにしても、男女問わず、独身時代の合コンのようにノリや勢いで参加すると痛い目に遭う可能性が高いですから、大切なものを犠牲にしてまで行くようなイベントなのか、一度冷静になって考えてほしいと思います。

 

 実際、テレビやSNSを見ると批判的な反応が多かったように感じましたが、それでも「既婚者合コン」は日常的に開催されているというのが現実のようです。
 ちなみに参加に際しては、当事務所が確認したいずれのサイトでも身分証明書の提示が必須になっており、氏名や年齢を偽ることはできない一方、職業や本当に既婚者であるかどうかは「自己申告制」となっており、主催者にその理由を問い合わせると、「未婚の方が既婚者のイベントに参加することにメリットがありませんので、そもそも未婚の方がいらっしゃる状況を想定していません。これまでも未婚の参加者が原因でトラブルになったという報告は受けておりません。」とのことでした。

 

 当事務所は、このような時代とともに変化するコミュニケーションのあり方に即応するため、日々の情報収集を徹底し、最新の法律問題にも対応できるよう備えています。
 離婚・男女問題の場合、悩んでいても、恥ずかしさやうしろめたさから誰にも話せずに一人で抱え込んでしまう方が多くいらっしゃいます。当事務所は、そんな方々のお悩み解決をお手伝いしておりますので、少しでも気がかりなことがございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。

(記事:吉田)

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