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別居後の生活費はどうする?婚姻費用について解説

離婚をする前に、お互い距離を置いて、別居を考える人もいるのではないでしょうか。今回は、別居した後の生活費や婚姻費用などについて解説します。

 

別居する目的は

別居とは、同居していた夫婦がお互いの関係が悪化し、冷却期間として別々に暮らすことです。お互い距離を置くことで自分自身の気持ちを見つめ直し、関係修復することもありますが、別居して離婚を決断するということもあります。

別居するメリットとデメリット

別居のメリットですが、関係が悪化した夫婦が1つ屋根の下で同居していることでストレスが溜まり苦痛に感じることもありますが、別居すれば相手と顔を合わさなくてよいのでストレスから解放されます。また、DV(家庭内暴力)で別居する場合は、配偶者から距離を置くことで暴力を振るわれないように、また、自分が攻撃されないように、身体の安全を守ることができます。
なお、DVの場合は早急に別居することをお勧めします。実家や親戚宅などに身を寄せることができればそれもよいですが、実家や親戚宅の場合、配偶者によるDV被害の危険が及ぶ可能性もありますので、その場合は自治体のDV支援センターなどに相談して一時保護施設を利用することができます。

DVについては、2024年4月1日から改正配偶者暴力防止法が施行されました。
改正した点は以下のとおりです。
・接近禁止命令等の申立てができる被害者の範囲が広がり、接近禁止命令の発令要件も拡大され、発令されやすくなりました。
・子への電話や住居、学校等の近くを徘徊するなどの行為の禁止命令が創設されました。
・保護命令違反に関する罰則が加重されました(2年以下の拘禁刑、または200万円以下の罰金)。
・接近禁止命令の有効期間が伸長されました(被害者への接近禁止命令が6か月から1年に伸長されました)。
詳細は以下URLを参照してください。
https://www.city.itami.lg.jp/material/files/group/22/r5_05.pdf

なお、別居のデメリットですが、相手と顔を合わさなければいけないというストレスから解放され、「別居のままでよいかも」と別居期間が長期化してしまうこともあります。別居期間が長期化すると、いざ離婚をする時に相手と話し合いをすることが難しくなる場合もあります。

別居中の婚姻費用

別居するには、食費や光熱費、子どもを連れて行く場合は教育費、家を借りる場合は家賃がかかります。夫婦や子どもの生活費や教育費などを婚姻費用といいます。婚姻費用は別居した場合も離婚しない限り支払う必要があります。
例えば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合や、夫が会社員で妻が扶養内のパート収入しか稼いでいない場合など、収入に差がある場合には婚姻費用が発生します。

具体的には、以下のような費用が婚姻費用になります。
・食事や光熱費など衣食住にかかる費用
・医療費
・子どもの教育費(学費や学用品の購入費等)
・子どもの生活費
・出産費
・冠婚葬祭費
・一般的に必要と考えられる範囲の交際費・娯楽費

婚姻費用の相場(年収500万円の会社員の夫と年収100万円のパート勤務の妻の家庭の場合)ですが、以下のとおりです。
・夫婦のみの場合:6万円~8万円
・夫婦と子(0歳~14歳以下)1人の場合:8万円~10万円
・夫婦と子(0歳~14歳以下)2人の場合:10万円~12万円
上記以外のケースは、以下の裁判所のURLに掲載されています。

裁判所HP 「養育費・婚姻費用算定表」:
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html

また、児童手当を受給している場合、市区町村役場で児童手当の受給者変更の手続きができますが、離婚を前提にしていない別居の場合は手続きが煩雑になります。
児童手当は、原則として児童を養育している人が複数いる場合は、生計を維持する程度が高い人(一般的には、夫婦のうち所得が高い人)に支給されます。
ただ、別居中の夫婦で生計を同じくしていない場合(例えば、離婚協議中の場合)については、子どもと同居している人が養育していると考えられることから、子どもと同居している方に支給されます。
別居してから離婚をするかどうか考えようという段階だと、児童手当の受給者変更の手続きが難しい場合もありますので注意してください。
なお、手続き書類などは、住所地の市区町村役場にお問い合わせください。

子どもの養育費

先ほど解説した婚姻費用と内容が重複しますが、子どもが成人するまでの生活費、教育費、医療費などを養育費といいます。離婚する際に、監護養育する親から他方の親に請求することが出来ます。また、子が独自に請求する権利もあります。
参考までに、厚生労働省の調査(「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果」)によると、母子家庭の1カ月あたりの養育費の平均相場は5万485円のようです。
また、養育費は子どもが成人するまでですが、子どもが高校卒業後に就職するなら18歳の3月まで、大学卒業後に就職するなら22歳の3月までと養育費の終期を決めることもできます。

婚姻費用の分担請求調停

別居中の夫婦の間で、別居する配偶者や子どもの生活費などの婚姻費用の分担について、話し合いがまとまらない場合があります。その場合は、家庭裁判所に調停または審判の申立てをすることができます。このことを婚姻費用の分担請求調停といいます。
婚姻費用の分担請求調停は、裁判官1人と調停委員2人が間に入って話し合いをします。具体的には、夫婦の資産、収入、支出などについて、夫婦双方から事情を聞き、必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握し、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をして調停の成立を目指します。

 

【婚姻費用の分担請求調停の流れ】

①必要書類が準備できたら、家庭裁判所に申し立てを行います
↓
②申し立てをした後、第1回目の期日を裁判所が決定します。申し立てから約1カ月後に日程調整されます
↓
③第1回目の期日(分担請求調停は2時間程度かかります)
↓
④第2回目以降の期日(状況によって分担請求調停は複数回行われます)
↓
⑤-1 分担請求調停が成立
夫婦双方が合意すれば分担請求調停が成立します。分担請求調停が成立すると調停調書が作成されます。なお、分担請求調停が合意したにもかかわらず、婚姻費用が支払われない場合は強制執行の申し立てをすると相手の財産を差し押さえることができます。
↓
⑤-2 分担請求調停が不成立
夫婦双方が合意せず、分担請求調停が不成立となった場合は審判に移行します。

 

【婚姻費用の分担請求調停での質問】

婚姻費用の分担請求調停では、主に以下の3つについて質問されます。

①お金に関する質問
婚姻費用の分担をする調停ですので、夫婦双方の収入、資産については細かく質問されます。これは、婚姻費用は収入の多い人が少ない人に支払うためです。
↓
②結婚に至った経緯と現在の状況についての質問
結婚に至った経緯から別居に至るまで、さらに、現在の状況などについて質問されます。DVや不倫など夫婦関係が破綻している場合はその理由についても詳しく質問されます。
↓
③子どもに関する質問
子どもがいる場合は婚姻費用の額に影響しますので、現在の学費、習い事、今後の子どもの進路などについて詳しく質問されます。
↓
④第2回目以降の期日(状況によって分担請求調停は複数回行われます)
↓
⑤-1 分担請求調停が成立
夫婦双方が合意すれば分担請求調停が成立します。分担請求調停が成立すると調停調書が作成されます。なお、分担請求調停が合意したにもかかわらず、婚姻費用が支払われない場合は強制執行の申し立てをすると相手の財産を差し押さえることができます。
↓
⑤-2 分担請求調停が不成立
夫婦双方が合意せず、分担請求調停が不成立となった場合は審判に移行します。

 

【婚姻費用の分担請求調停の費用】

費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手代が必要になります。なお、婚姻費用の分担請求調停を弁護士に依頼する場合は、着手金などの弁護士費用が一般的には発生します。

 

【婚姻費用の分担請求調停の必要書類】

婚姻費用の分担請求調停の申立書及びその写し1通、夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、申立人の収入関係の資料(源泉徴収票,給与明細,確定申告書等の写し)、婚姻費用の分担請求調停に至った経緯に関する事情説明書などが必要になります。
詳しくは、申し立てする前に家庭裁判所にお問い合わせください。

 

なお、婚姻費用の分担請求調停の申立書の記載例は以下URLを参照してください。 https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/2019_konpi_rei_383kb.pdf

別居中の面会交流

もしも、子どもと別居することになったとしても、子どもと会ったり、電話をしたり、手紙のやり取りをしたりすることが子にとって適切である場合があります。このことを面会交流といいます。どんな条件で面会交流をするかは、別居前に夫婦で話し合い話し合いがまとまることが原則的に子にとって良い事です。
なお、「子どもに暴力をふるう」「正当な理由なく養育費を支払わない」「子どもを連れ去るおそれがある」などの場合は面会交流が認められない場合があります。

まとめ

今回は、別居した後の生活費や婚姻費用、婚姻費用の分担請求調停などについて解説しました。特に、婚姻費用の分担請求調停をする場合は自分で手続きするには煩雑な点が多いだけでなく、適切な費用を受けられないリスクもあります。手間や労力がかかる、安心感を得られるという観点からも、離婚トラブルを専門とする弁護士にぜひ、ご相談ください。

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